乳幼児は、食べて、眠って、遊ぶのが大切な仕事です。
「食」は、単に栄養素を摂取することだけではありません。
一緒に食べる人がいて、心地よく食事をすることで、「おいしい」という感覚が育まれます。
食べものは、もともと動物や植物などの生きものです。健全に育てられた生きものが、体にとって望ましいことは言うまでもありません。
また、調理という過程を経ることで、生きものは食べものへと変わります。
しかし、調理の場が工場に移ると、多くの化学物質が添加されます。
人類の長い歴史にはなかったこの変化が、わずか一世紀弱のうちに、私たちの日常の食べものへと置き換わってしまいました。
一方、赤ちゃんは母乳を飲んで成長しますが、成長とともに母乳だけでは足りなくなり、さまざまな食べものを口にするようになります。
この移行のステップでは、消化や吸収の発達に合わせた調理が大切です。
また、食べさせる人や、一緒に食事をする人の存在も同様に重要です。
乳幼児の成長発達が大きく逸脱しないようにするためにも、「食のいとなみ」は、お口や心身の発達の中心となります。
さらに、三度の食事と起床・就寝の習慣が、生活リズムを整える役割を果たします。
食事は、乳幼児のすこやかな成長を支える重要な要素です。
離乳食、咀嚼と嚥下(えんげ)、食物アレルギー、生活リズムを整えて免疫力を高めること、これらはすべて深くつながっています。
『食べもの文化』は、食のいとなみを広く捉え、乳幼児の心身の健全な発育・発達を実践することを目指した食の情報誌です。